先日、サンフランシスコの日本町の近くにある本格的なインド料理を出すレストランDosaでアルバリーニョ&インド料理のセミナーがありました。

Dosaはワインリストも素晴らしいです。

このセミナーはDosaのソムリエ、トッド(Todd)と Benu のワインディレクター、ユーン・ハ(Yoon Ha)のコラボで行われました。

Benu はご存知の方も多いと思いますが、フレンチ・ランドリーのヘッド・シェフだった コレイ・リー(Corey Lee)がオープンした超高級レストランです。ユーン・ハは韓国で育って、スペインで2年ほど働いてワインに興味を持ったとのことで、20年以上ワインの仕事をして、2012年にマスターソムリエの資格を取っています。

この日、使われたのはスペインのリアス・バイサス(Rias Baixas) のアルバリーニョ (Albarino)。リアス・バイサスはスペイン北西部のガリシア地区に位置していて、原産地呼称地域です。アルバリーニョはこの地区を代表するワインで、繊細で芳香のある白ワインとして知られています。

アルバリーニョというと魚介類を合わせるのがスタンダード。でもこの日はそういった一般論を超えた「味の旅」をしようというセミナーでした。

彼曰くこの白ワインとの組み合わせはエンドレス。味わいの要素がたくさん含まれている上に、アルコール度が低いのも嬉しい。

「ターメリック、カルダモン、シナモン、グローブ、コリアンダー(パクチー)クミン、レッドペッパー等のスパイスがたくさん使われているインド料理との組み合わせを考えたことがなかったのだけれど、トッドからこのテーマでのセミナーをもちかけられて、一緒にインド料理とアルバリーニョの組み合わせを試してみたら、良くマッチするので驚いた」とユーン。

6つのワイナリーのアルバリーニョを7、8種のインド料理と合わせていきます。涼しい土地でひっそりと咲く白い花の香りと優しい味わい、それに乾いた海の香りが6つのワインに共通してました。6つのどのワインにもフィニッシュに多少の苦味が感じられました。

苦味について、ユーンのコメントが印象に残りました。

ワインと食べ物のマッチングを考えるときの場面を道具箱という表現を使って説明してくれました。

「いろんな味わいを道具とします。いろんな道具が入った道具箱を持って仕事に出かけると物を作るにしても修理するにしても、多くの仕事がこなせる。数種類しか道具が入っていないと、うまく仕事ができない。どこそこのワインは(地区名は省きます。有名なワイン産地です)道具が少ないので(味わいの要素が少ない)料理と合わせるのが難しい。

いろんな味わいが含まれているワインのほうが料理に合わせやすい。

今回のアルバリーニョは多少に苦味がフィニッシュに感じられるが、この苦味も道具のひとつと考えている、この苦味が料理と合わせる時に役に立ってくれる」。と情熱的に話してくれました。

一般的(私も含めて)に、ワインに苦味が感じられるとマイナスとして評価してしまいますが、彼はそうではなくて、道具の一つ、料理と合わせる時に味わいの要素の一つとして捉えているというのが、印象に残りました。

 

この日は南インド料理が出されました。

私はインド料理が大好きなのに、詳しいことは知らなくて、インド料理の深さを理解するところまで及びませんでした。幾種類ものスパイスを使った料理は美味しかったとしか言えないのが残念。

赤くて丸いレッドビーツのコロッケはクミンが利いていました。

魚介類のコロッケには辛口タイプがぴったり。

エビとチリを揚げた物。揚げもににはフルーティさが多少あるタイプが良くマッチ。

程よい優しい味わいから上品なフルーツの味と多少ボディがあるタイプ、酸がキリッと利いたタイプを順番に試飲。

フルーティさが程よい真ん中あたりのタイプがどの料理にもマッチしてました。キリッと酸が利いたタイプはマッチする料理としないのがはっきりと分かれました。

揚げ物には酸がキリッと利いたタイプ、程よいフルティさが特色のタイプまで、よくマッチしていました。

一つだけちょっと辛い料理があって、辛い料理には余り強くない私は、口の中が一瞬しびれてしまいましたが、これも水を飲んで少しすると大丈夫。

インド料理だと飲み物はビールと思う方が多いかもしれませんが、ビールを飲むとお腹が膨れて料理を食べられなくなってしまうので、私はアルバリーニョとか、辛口タイプのリースリングがいいかな。でもフルーティな赤も合いそうな気がします。この次は赤ワインで試してみたいです。

以下の生産者のアルバリーニョが使われていました。

Martin Codax 12.5% $15

Pazo de Senorans 12.5% $21

Nar de Frandes 12.5% $14

Bodegas Vionta 12.5% $18

Valminor 12% $14

Pazo San Mauro 12.5% $18