No. 32 Date:2007-12-22
またしてもコンスティレーションがワイナリー買収
巨大なワイン会社はあたかも止まれば転倒するというかのように、貪欲にワイナリーの買収を続けている。 
 2004年にロバート・モンダヴィを買収して、カリフォルニアのワイン業界をあっといわせた記憶も薄れないうちに、またしても大型買収のニュースが流れた。
 フォーチュン・ブランドのワイン部門、ソノマ・カウンティに本拠地を置くビーム・ワイン・エステートをコンステレーションが買い取った。ビーム・ワイン・ エステートの経営がはかばかしくないからという理由ではなく、その逆でビジネスが好調だったがゆえに、スピリッツ(Vin & Spiritsとジョイント・ベンチャーでアブソルート・ウオッカを米国の流通担当等)が専門のフォーチュン・ブランドは高値で売れる時期に売って、スピ リッツ経営をさらに盛り上げようということらしい。 
 アメリカのワイン産業の歴史にとって最高額の買収だという。 巨大なワイン社、コンステレーショは、独自にワイナリーを設立して発達させるより、すでに設立されているワイナリーを買収するほう容易であることを知った上での買収劇だ。
ビーム・ワイン・エステート(Beam Wine Estates)が所有していたワイナリー:
 Clos du Bois 
 Geyser Peak 
 Buena Vista 
 Gary Farrell 
 Wild Horse
コンステレーション(Constellation)が所有するワイナリー: 
 Ravenswood 
 Simi 
 Robert Mondavi 
 Franciscan Oakville Estate 
 Quintessa, 
 Mount Veeder
コンステレーション(Constellation)が所有する安価のワインブランド 
 Vendange 
 Inglenook 
 Almaden 
 Black Box 
 Blackstone
これらのワイナリーおよびブランドがすべてコンステレーション所有となって、さらにガロやケンダル・ジャクソンがワイナリーを買収して いるから、ふと思いつくワイナリーやブランドの多くがひとつの会社に所有されているということになる。それを思うとちょっと味気ない気持ちになる。 
 品質が良くて価格が手ごろなワイン、でも欠陥も無ければユニークさも無い、個性に乏しいタイプのワインは、大手が供給するという形になってきている。消費 者の立場としては、それでもいいということも言えるけれど、中規模や小規模の個人が所有するワイナリーが、だんだん消えていくのは、なんだかワイン業界の ロマンが少しずつ減っていくようで残念だ。
 その一方で、高級ワインを生産し続けている小さなワイナリーは、自分のスタイルを極めて、それを洗練させている。高級ワインの世界はワインセンスが成熟の地へと進んでいるのを感じるこのごろである。
