No.57-1 ワインのコメント



ワインのコメント

今や、プロもアマもみんな一緒にワインについてのコメントを書いたり述べたりする時代。でもひとつのワインについて、その質、味わい等について他の人に伝えようとするとき、きちんと誤解なく通じているのかしら?

例えばこのワインはイチゴのアロマがするとか、グスベリのアロマがするといったとき、生のイチゴやグスベリの香りがそのままずばりとすると言っているのではなくて、似た香りがするということだと思う。グスベリといえばニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを説明するときにカリフォルニアではよく使われているけれど、でもグスベリを見たことも食べたこともない人には、あまり役に立たないよね。

それからマニキュアの除光液の香りがするといったときに、ほんの少しだけその香りがあるということで、目一杯に香っているわけではない。そしてこの香りは一般的にはマイナスの要素としてのコメントと受け止められるのだけれど、人によってはほんの少しこの香りがするワインが好みということもある。

カリフォルニアでコメントに使われる言葉に、tart, astringent, bitternessというのがある。辞書を見るとtartは酸っぱい、それから若い赤ワインの場合、タンニンがたくさん含まれているとastringent(収れん性と辞典にある。渋柿を食べたときに口をすぼめる渋みのこと)という言葉を使う。それをbitterness(苦味)と混乱する人もいる。

もうひとつ、カリフォルニアではなくて日本から来た知人なんだけれどflavorを香りと解釈している方に数人お会いした。辞書を見るとflavorは風味とある。風味と香りではだいぶ違うから、聞かれた私も、一瞬、「えっ?」。日本ではフレーバーflavorは香りっていう意味になってるのかしら?

フランスでは花の香り、カリフォルニアはいろんなフルーツで表現する。でも見たことも花や、食べたこともないフルーツだったら、そのワインの味も香りもちょっと想像が付かないよね。

元UCデイヴィス校の教授だったアン・ノーブル博士がこういう混乱を少しでも避けて、ワインを表現する言葉が共通用語として分かり合えるようになるといいというので、ワインのアロマ・ウイールを作成したのは、ずいぶん前のこと。

今はこのアイデアに基づいて、スパークリングワイン用のアロマ・ウイールとか、別な会社や組織が、色とか言葉を変えて、アロマ・ウイールを作成している。今も役に立つかも。

それにしてもワインを言葉で的確に伝えるというのは難しいことだよね。独りよがりでうっとりと説明するのは簡単だけれど。もしかして私も独りよがりのグループに入るのかも、、、。しょんぼり。