No.55 ワインの当てっこ

ワインの当てっこ

ジェームスがいたずらっぽい目をして白ワインが入ったグラスをカウンターに座っている私の前に黙って置いた。私の答えが外れるのを待っていると顔に書いてある。まず品種を当てろということらしい。それからどこの国、ヴィンテージはと問いただしてくる。これは珍しいことではなくて、すでに何度も繰り返されている場面。ほとんど外れるけれど、当たると、一瞬まじめな表情になって、「うーん」とうなる。

一度などは、メリー・エドワードのソーヴィニヨン・ブランが、黙って目の前に置かれた。あんまりにライプで甘く感じられて、ソーヴィニヨンブランらしい香りが全く感じられなくて、でもソーヴィニヨン・ブランかなと思いつつ、エキゾチックに答えたいと演出して(?)ゲヴェルツトラミーナって言ったら、彼は「スペクテーター誌がベストのソーヴィニヨン・ブランといってるんだぜ。なんでゲヴルツトラミーナになるわけ?」って、見事に外れた私を嬉しそうに見たっけ。

もう10年にはなると思うけれど、世界中のワインが似た造りになってきた。インターナショナルスタイルのワインと人々は呼ぶ。このスタイルのワインはブラインドで、生産国を当てるのは、とっても困難。それに当たったとしても、その目的はなんなのかしら?

もっと焦点を絞って、例えばカリフォルニアのピノで、どこの地区かを推測しあうのは勉強になる。涼しい地区のタイプとやや温暖な地区では、特色が違うからだ。

漠然とワインの当てっこをしても、あんまり楽しくないと思うのは私だけ?