Hall

 

ナパ・ヴァレーのホールが新シリーズを発表

プラティナム・コレクション(Platinum  Collectionとして3つの(将来的には4つになるかも)高級カベルネ・ソーヴィニヨンをリリースしました。

単一畑とベストの樽からのブレンド。その中の一つは、すでにパーカーポイントで100点をとっています。

限定醸造でプラティナムのメンバーに登録された方のみが購入できるというもの。

メンバー登録サイト:www.hallwines.com/platinum-collection

1本の価格は325ドル、生産量は各カベルネが300ケース以下。

モンダヴィとオパスワンでのワイン生産経験11年の醸造責任者スティーヴ・レベック(Steve Leveque)が精魂をこめて造ったワイン。オプティカル・ソーティング始め、最高のワイン造りをするべき環境が整っている中で最高級のワインを造るというのは造り手にとっては、やる気満々になるたまらないチャレンジだと思います。

ブドウ畑で過ごす時間が多いという同氏は「畑の個性をしっかり把握して、ブドウ樹一本一本を見守っています。ナパを代表するカベルネを造りました」と話してくれました。

自然酵母で発酵。マロラクティック発酵も自然発酵させている。澱引きもろ過もしない。バトナージュもなし。極力畑の個性を出したいからという。セラーは重力でワインを移動させる設計になっていて、瓶詰め作業にワインを移動するのも重力。ポンプは使わない。

「マロラクティック発酵を自然に起こさせて終わらせるというのはかなり勇気がいると思いますが」と聞いたら、セラーの3つの部屋は床を温めることができるように設計されているので、部屋を変えたりして温度をコントロールできるということでした。SO2は9ヶ月使わない。結果として瓶内のSO2含有量は非常に低い。

リリースしたワインは以下の3つ。

2013 Rainin Vineyard

2013 The Bishop

2013 Sacrashe Vineyard

2013 Rainin Vineyard

レイニン・ファミリーが所有するダイアモンド・マウンテンの火山性土壌の斜面の畑のカベルネ・ソーヴィニヨンを使っている。8エーカーの畑の中でもベストのブロック6のブドウから生産。カベルネ・ソーヴィニヨン種100%

黒系フルーツ、カシス、ハーブ、土、深み、しなやか、口の中にみずみずしい酸味が広がる。幾層にも重なった味わいが長く続く。

「醸造家として表現したこの畑の個性は?」

「ダイアモンド・マウンテンにある畑の個性はハーブ、ダークスパイス、エッセンス、風味の凝縮、リッチ、エレガント。そしてこのワインのストーリーを感じてもらいたい」

このワインはパーカーポイントが100点。

2013 The Bishop

ダイアモンド・マウンテン、ハウエル・マウンテン、ヴァレーの低地の畑のカベルネのベストの樽をブレンド。この年はメルローが良かったので、ブレンドしている。カベルネ・ソーヴィニヨン(85%)、メルロー(15%)

カシス、ブラックベリー、華麗なアロマ、シームレス、貴婦人のようにエレガントで華やか。

2013 Sacrashe Vineyard

ルサフォード地区東部にある自社畑。標高700フィートの丘陵地にある火山性土壌のユニークな畑。20ブロックのうちベストのブロックのブドウを使っている。

自社畑なので、栽培手入れは徹底的にコントロール。ユニークなのは枝をクリップで留めていること。枝が交差しないように、そして太陽の当たる角度(太陽が当たりすぎるのを避ける)をコントロールするためだ。

カベルネ・ソーヴィニヨン(89%)、メルロー(11%)

土の香り、口当たりが密。味わいがびっしりと詰まっている。他の2つよりフルーツの甘みが明確。スパイス・タンニン、良質の酸。

3つのワインの個性がきっちりと表現されていて素晴らしいワイン。

「テイスティングで残ったワインはお持ち帰りください」といわれて、空気に触れたら、どんな風に変化してくれるかと思って、わくわく。家でステーキといただきました。 Rainin Vineyardは、さらに豊かな個性をしなやかに表現。Sacrashe Vineyardは力のあるワインで、時間が経ったら本領を発揮。どのワインもステーキとよくマッチしました。

ホールはルサフォードの真ん中、29号線沿いにあります。ガラス張りのモダンなテイスティングルーム、その横のにかなりの広さの芝生があって、両側にパラソルと座り心地のよさそうな椅子がずらりと並んでいます。まるでリゾートホテルのようです。ブドウ畑を眺めながらワインを飲むと心地いいだろうなあ。

オーナーのキャサリン・ホールはクリントン時代にオーストリアの大使を務めたので、改築前のワイナリーにはオーストリアの国色である赤が、彫刻とかに使われていて、目に付いたものです。今回、赤が使われていませんでした。で、トイレへ行ったら、室内(?)が真っ赤で、一瞬、足が止まってしまいました。真っ赤な電気が使われた幻想的なバスルームでした。ここで赤を使うなんて、その意外性と遊び心が楽しいですね。

いろんなツアーがセットされていて、アートのツアーも楽しそう。モダンなハイテクワイナリーなので、IT関係のミレニアルに人気があるとのことで、この日も10人ほどの若いグループが楽しそうにツアーをしていました。週末は1日に500人がここを訪れるということです。

一見、ツーリスト専用の軽いワイナリーかと思ってしまうのだけれど、今回このシリーズを試飲させていただいて、最高級のワインも造っていることに敬服しました。