コロナ、猛暑、山火事とカッチ&ドゥリュー・ワイナリー

コロナウイルス感染が止まらないアメリカですが、加えてカリフォルニア(ソノマ&ナパも含めて)は40℃(新記録)を超える猛暑に2度も襲われました。猛暑に伴う雷と稲妻が原因で山火事があちこちで発生したのは8月17日頃。そして9月8日から又しても山火事があちこちで発生、今回はオレゴン州やワシントン州にも強烈な山火事が発生しています。

今日9月9日午後3時現在、あちこちで発生している山火事の煙でソノマの空はオレンジ色、まるで冬の夕方のようです。灰が積もっています。

コロナが感染が猛威を振るう中で、大型ワイナリーはコロナ前から大型チェーン店でワイン販売のスペースを確保しているので、家飲みワインがよく売れるようになって、コロナによる損失は生じても、なんとかしのぐことができる状況です。3月の調査結果ですが、レストランやワインバーでの売上げがストップした損失を埋めるためにはワインショップとネットでの売上げを22%アップすることが必要だとしています。大手はテイスティングルーム等の従業員をネット販売に回して、ワインのパッキングや発送をしているそうです。3月から5月にかけて、同調査会社によると、2019年の同じ時期に比べるとネットでのワイン販売は35,6%増だと発表しています。

一方、最もリスクが高いのは、年間生産量が1000-5000ケース規模の小さなワイナリーで、2020年の収入減は47,5%、1000ケース以下のワイナリーだと60%減と予測しています。主な売り先がレストランだったワイナリーは、苦境に立たされています。小さなワイナリーはワインクラブが大きな収入源だったところが多く、メンバーは状況を理解してたくさんオーダーしてくれたというワイナリーが多いです。でも何回メンバーにオーダーをしてくれるように頼めるでしょうか?

2度目の山火事が発生する前でしたが、リスクの高い小さなワイナリーはどのようにしてこの状況をしのいでいるのかと案じて、カッチ(Kutch)とドゥリュー(Drew)に聞いてみました。ものすごく忙しい中、返事をくれました。

以下がジェイミーとジェイソンからの返事です。

Q:ハーベストは始まっていますか?ブドウの出来はいかがですか?

カッチ:ハーベストは速く、そして激烈です。とても乾燥した年なのでブドウは早く熟しました。地球温暖化のせいだと思います。

McDougal RanchとBohan Vineyardは8月末に収穫しました。(*注:https://www.winetalkcalifornia.com/winery-vinyard.html?start=4)ブドウの質は良いです。風味が凝縮していて色も素晴らしいです。アルコール度は12.5%前後と理想的です。

ドゥリュー:私たちは収穫作業に取り組んでいます。あらゆる方向から飛んでくる弾丸を必死で避けています。

今のところ、アンダーソン・ヴァレーの3つの畑からピノ・ノワールがワイナリーに届きました。ブドウの状態はこれまでのところ素晴らしいです。

自社畑のブドウ収穫は1-2週間先になりそうです。(*注:自社畑はメンドシーノ・リッジAVAにあって海に近く標高366メートルという高地にあります。https://www.winetalkcalifornia.com/winery-vinyard/623-drew.html

Q:コロナウイルスからどのような影響を受けていますか?ワインは売れていますか?

カッチ:コロナウイルスは私たちのセールスネットワークを大きく妨げています。カッチは世界中のレストランにかなりの量のワインを売っていたのですが、ウイルスのせいで多くのレストランが閉店して大きな影響を受けています。悲しいことにロンドン、ドイツ、ノルウェー、日本等々の輸出が激減してしまいました。

でもアメリカではコロナのせいで外出禁止になり、家にいることが多くなってネットでショッピングすることが圧倒的に多くなりました。カッチもアメリカ内でのネット販売が通常より多くなりました。ディレクト販売です。

2021年四半期にはビジネスがスナップバックすることを期待しています。

その時に備えて、新しいワインを造ることにしました。ソノマ・カウンティ・ピノ・ノワールです。レストランが再びオープンできるようになったときに、レストランのビジネスをサポートするために手ごろな価格でバイザグラスでサービスできるワインを造ります。ワインの在庫を減らして、販売が動くことを期待しています。

ドゥリュー:ディレクト販売の売上げは上がりましたが、言うまでもなくレストランへの売上げが減少したので、全体としては売上げが減りました。

でもアンダーソン・ヴァレーにあるテイスティングルームに多くの人が来てくれてます。サンフランシスコ周辺の人たちがサンフランシスコを避けてメンドシーノに逃避してるのだと思います。幸いなことにローカルのレストランとワインショップで、良く売ってくれてます。

Q:山火事の影響を受けましたか?  

カッチ:ナパ、ソノマ、アンダーソン・ヴァレー、そしてサンタ・クルズ・マウンテンに山火事が発生して大混乱になりました。ブドウ畑によってはブドウが煙の影響を受けました。保証されている化学分析所でブドウが煙で汚染?されているかどうかを入念にテストしてもらっています。

山火事は大量の煙を放出するので、デリケートな果皮に浸透して、いぶしたような味(例えば灰)になります。そのブドウ畑が煙によるダメージを受けたかどうかを知るベストの方法は化学分析です。

今のところ、McDougal RanchとBohan Vineyardはネガティブでした。でもサンタ・クルズ・マウンテンの畑はポジティブだったので、悲しいことに今年はこの畑のワインは生産しません。他の2つのブドウ畑、Falstaff とTrou Gulch Vineyardは分析結果を待っていて、結果がわかったらブドウを摘みます。

カリフォルニアでは毎年山火事が発生するのが新しいノーマルになって、恐ろしいです。

ドゥリュー:煙の影響を受けずに収穫を終えることを祈っているのですが、時が教えてくれるでしょう(*この返答の後に、メンドシーノ・カウンティで大規模な山火事が発生しています。ドゥリューの畑とワイナリーと山火事の位置関係が私にはわかりません)

今日(9月9日)は空気は煙っぽく、空はオレンジ色です。早く青空が見えるようになるといいのですが。

とても困難な状況の中で、多くの小さなワイナリーが、今、良いワインを造ろうと収穫、醸造作業をしています。

何とかこの苦境を乗り越えてほしいものです。

カリフォルニアの青い空が恋しい!