ソノマの暮らしブログ

アメリカと銃

 このブログを書こうと思ったのはラスベガスでのライフルによる大量殺人事件が発生した時でした。その後テキサスでは教会内に発射、25人を殺害、そして今日は北カリフォルニアで4人が殺されたというニュースが流れています。

多分、日本でも報道されたことと思います。ラスベガスで2万人以上がカントリーミュージックを楽しんでいるコンサート会場に、ホテルの32階から雨のように銃弾を発射、300人以上が負傷、58人が死亡しました。 これまでに何回もこのような事件が起きていますが、ラスベガスでの事件で最も多くの人が殺されました。 大量殺人の定義は4人以上の死亡者が出た場合だそうです。

2012年12月にサンディフックという小学校で20人の児童と6人の大人がマシンガンの襲撃で殺されました。その後、1500件の大量殺人事件が起きて、1715人が死亡、6089人が負傷しているとのことです。 サンディフック小学校で幼い子供達が殺された時には、これでアメリカも銃の規制法ができるだろうと思ったのですが、ナショナルライフルアソシエーション(NRA)から大枚の寄付を受けている政治家たちの反対によって成立しませんでした。この時にオバマ大統領が流した涙と規制法に反対する政治家は恥を知るべきと言ったのを強く記憶しています。

日本は銃の所有(レクレーション用を除いて)は強く規制されています。日本がそうなのだから、先進国の最先端を行く(その昔、そう思ってた)アメリカだから、銃の規制法が当然存在するはずだと、単純に思っていました。そうではなくてアメリカ憲法修正案2条で銃の所有が認められているのです。

アメリカは最も銃による死亡者が多い国です。理由は明らか。銃が容易に手に入るから、銃所有者が多く、銃による死亡者も多いということです。 銃襲撃による大量殺人は大々的に報道されますが、銃による死亡者の多くが自殺だそうです。睡眠薬を大量に服用したり、手首を切るのに比べると確実に死ねるからだそうです。

ハーバード大学の調査によると銃による殺人はカナダの6倍、ドイツの16倍だそうです。銃による殺人なんて滅多にない日本から見たら、信じられない数字です。 幸いなことにカリフォルニアは南部や中西部のように保守的な州に比べたら、厳しい銃規制法があるので、銃による死亡者は比較的少ないです。大量殺人はそれほど発生していません。といっても日本などに比べたら、銃による殺人事件はずうっと多いですが。

昨年の5月にアメリカ中西部を訪れて、銃を所有する人が多いのはなぜかよくわかりました。都市を離れて次の都市へ行くまで、延々とトーモロコシ畑が続いていました。隣の家はずうっと向こうにあります。強盗に襲われた時に、警察に電話しても、遠くて、すぐにはやってこないことは明らかです。こういう環境の中では一軒に一つくらい保身用に銃を持っていたいと思うのは納得できました。

オバマ大統領を中心に民主党の議員たちは銃規制法を成立させようと努力したのですが、共和党議員はもちろんですが、民主党員の中でもガン規制に反対する議員がいました。 何年も前に銃規制法を成立させようとしたことがあったそうです。そのときにこの法律に賛成した民主党議員の多くが選挙で落とされました。NRAが大量に賄賂を振りまいて選挙民を反対に回らせたのでした。ニューヨーク州で以前にクモオ知事が落選覚悟で銃規制法に賛成して、NRAによって落選させられました。今もNRAを恐れて銃規制法に反対する議員たちが(共和党の大多数)銃規制法成立を潰しています。 その言い訳は「オバマ大統領は銃を国民から取り上げようとしている。憲法で保障されている権利を否定するのは憲法違反だ」という建前でした。

オバマ大統領と規制法賛成派の議員たちは銃を取り上げようとしているのではなくて、銃を販売するときには、厳重にバックグラウンドをチェックすること、精神不安定な人には銃を売らないこと、半自動小銃(襲撃用の武器)販売禁止、銃を華々しく宣伝する雑誌にも規制をかけるといった内容だったのですが、反対派は「銃が取り上げられる」と主張して規制法の設立を潰してきました。

1990年代初めから、NRAの会員に所属している一般庶民も含めて、大半のアメリカ市民は購買時の厳重なチェック、襲撃用武器である半自動小銃の販売禁止などについては賛成するとアンケートに答えているにもかかわらず、共和党の政治家たちは規制法成立に反対してきました。

大量殺人に多く使われているのは戦闘用に設計されたセミオートマティック(半自動小銃)ライフルです。この銃を設計した人が「戦場で一瞬にして大量の敵を殺せるように設計されたもので、一般人が使うためのものではない」とインタビューで答えていました。その戦闘用のライフルが、なんとスポーツ用と銘打って許可を取って販売されているのです。お金儲けのためなら人の命も関係ないのでしょうかね。

トランプ大統領はオバマ前大統領が出した「精神不安定な人には銃を売らない」という大統領命令を、さっさと取り消しています。そうです。アメリカでは精神不安定な人物でも銃が買えるのです。そして大量殺人の犯人は、その多くが精神的に不安定な人です。サンデイフック小学校で大量の子供達を殺した犯人は精神的に病気でした。精神的に不安定と漠然と書いてますが、実際には詳細の定義があります。ここではソーシャルセキュリティからお金をもらっている人で財産管理など自己管理ができない人などが含まれているということだけで、詳しいことは省略します。

いつも大量殺人事件が発生すると、銃規制の話をするのは死んだ人に失礼だから、事件直後にその話題を政治化するのはやめたほうがいいという恒例の文句で避けてきてます。

今日も北カリフォルニアで4人が銃で殺されたというニュースが流れています。

銃規制に反対してきた議員たちの手は銃で殺された人たちの血にまみれている、と私は思ってます。 サンディフック小学校がある地区の民主党議員は、銃規制をいつも訴えています。

この声が一日も早く法律となって、ひとりでも銃による犠牲者が減ることを祈るばかりです。

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